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コンセプトとしては”日本語の範疇でR&Bシンガーとしての本領をいかに表現するか”に重きが置かれており、クリエイティブな姿勢にも一層の磨きが掛かっているわけですが、長きに渡ってELLIEの動向を追ってきたいちファンとして何に超絶アガったかって、アルバム・タイトルやビジュアル・ワークに恥じないELLIEの弾けっぷり、これに尽きる。以前は楽曲/佇まいともにやや清楚な側面が強く、身軽にR&Bをこなす優等生的ポジションを自らすすんで引き受けている印象があったのですが、本作ではまるで箍が外れたように”プッツン”してみたり、全身全霊ではしゃいでみたりと、持ち前の素<アイデンティティ>を全方位に解禁。折しも昨今のELLIEは、SNSなどでエキセントリックかつコミカルなキャラクターで新たなファン 層を開拓しており、本作を聴いたリスナーも困惑どころか、「ようやくぶっ飛んだ曲をお披露目してくれて嬉しい!」とさぞ手放しで喜んでいるに違いありません。 言わずもがな、その驚嘆不可避なオリジナリティは新曲にも色濃く表れていて、「Kiddy」と同系譜のエレクトリックなR&Bトラックに官能的なウィスパー・ボイスが絡む「Cinderella」、「みんなが揃えばどこでもパーティ会場よ!」的ヴァイブスが瀧澤賢太郎によるクールなベースハウスとドッキングを果たした「T.G.I.F」、週末特有の気だるいモードが心地良い恍惚スロウ「Saturday」など、お手製感あふれるナンバーが続々とお目見え。マスとコア両方に訴求し得る機能的なサウンドもさすがの一言です。中でもひときわ耳を惹いたのが、ロックとの邂 逅によっていつになく尖った存在感を轟かせる異色作「敵」。臨戦態勢ばっちりのスリリングなヴォーカルもさることながら、”前戯なんて 要らないでしょう/何故って くだんない””いつもの嫌味な顔で 見下してよ”をはじめとするパンチラインのオンパレードに、こちとら即KO。これを痛快と言わずして何と呼ぶ。 とまあ、全体を通して前の めり主義を決め込んだ一作なのですが、当のELLIE自身は、おそらく我々が想像する以上に腹を括って制作に取り組んでいたはず。やっぱりこれだけの”危 うさ”を纏うとなると代償は付きものだし、そもそもプライベート=ある種の孤独と向き合う作業って、きっと誰にとっても平坦ではないと思うから。その血の 滲むようなプロセスをも我々に容赦なく突き付けているあたりが、本作を取り巻くカッコ良さの所以となっているのは推して知るべし。彼女に倣って、いっちょ 盛大に人生削ってみようかな。

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